ものがたりに栞をはさむ

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様々な「ものがたり」を楽しんで個人的な感想をのんびり書いていきます。好きな作品を誰かと分かち合えたらいいな。

ちはやふる(末次由紀)41巻

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3/13発売の「ちはやふる」41巻を読みました。

以下、感想です。

 

 


名人戦・クイーン戦までの準備期間のお話。

 

千早だけでなく、出場者だけでもなく、それ以外の人たちにとっての名人戦・クイーン戦に向けての話が1冊分しっかり描かれている。
みんながそれぞれ自らにとってできることを頑張っていて、自分も頑張らなくては…と思えた。

 

表紙は初めてのお姉ちゃん。
かるたのことは理解してくれなくても、この姉妹の絆が垣間見える瞬間が好き。

 

次巻は待ちに待った名人戦・クイーン戦なので、どんな展開になるのか想像もつかないが早く続きが読みたい。

 

 

 

詩暢ちゃんの札に対する愛情は今までも描かれてきたが、今回ようやく「小さな神様」の本当の意味を知ることができた。
歌や背景について、かなちゃんと同じように深くまで勉強しているのだろうが、詩暢ちゃんは歌の意味ではなく、昔から受け継がれてきた百人一首そのものを好きなのだろう。

 

どれだけ好きでもそれを仕事にできないのなら、その仕事を自分で作ってしまいたい。
そこまで何かを好きになれることがあるだろうか。

千早もそうだが、詩暢ちゃんから影響を受けて考え方を変えさせられた人が多いのは、詩暢ちゃんのその百人一首に対する強い愛情によるものだと思う。
人の熱意は他人の心を動かすのだ。

 

詩暢ちゃんと新の映像を見て千早が感じたのは、嫉妬だろうか。
自分は一人で頑張っているのに、一人だと思っていた詩暢ちゃんには新がいる。という孤独感なのか、新と詩暢ちゃんの仲の良さが気にかかっているのか。

千早の新に対する感情は相変わらずはっきりとしないままのように感じる。
最後に新からかかってきた電話は、他の誰に言われるよりも千早の背中を押すのだろう。

構成が本当に上手い。

 

太一は千早のことよりも周防さんに対する思い入れの方が強くなっている?と感じていたが、最後でやっぱり千早のことを気遣っていたのでとても安心した。
千早への執着は薄れていくとしても、そういうところは変わらないでいてほしい。

太一には何を頼ればいいのか千早が思いつかなかったのは、いつもそばにいて支えてくれていたからこそだろうか。
太一の「役割」はそれだと本人も思っているのかもしれない。

 

菫ちゃんが出てきたときにも安心した。
かるた部の一番の後輩であり、苦しいはずなのにそんなそぶりを他人に見せない彼女は誰よりも強いと思う。

今の菫ちゃんがどう思っているのかはわからないが、太一のことを諦めて欲しくない。
太一が菫ちゃんのことを選ぶ日がくるかもしれない。

大盤係は太一に頼むのではと思っていたが、これからも続いていくかるた部の後輩に頼むところは、高校の先生になりたい千早らしい選択だと思う。

太一は周防さんの大盤係をやるのだろうか?

 

今までかるたに興味ないながらも仲の良かったお姉ちゃんと初めて喧嘩をした。
頑張っているのに妹の方が注目されてしまったのだから、お姉ちゃんの気持ちはよくわかる。

かるたなんてと言いながらも千早の姿に励まされている話は少しずつ描かれていたが、このタイミングで姉妹の話が出てくるとは想像していなかった。
それなのに、なるべくしてなった、という印象が強い。

 

1巻から積み重なってきたものが、やっと…!と思える1冊だった。
42巻からはついに夢を叶えにいく展開になるのだろう。

誰が勝っても負けても、絶対に納得のいく物語になるのだろうと思う。
続きが待ち遠しい。